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電子契約の導入の流れとは?導入時の注意点も解説

ペーパーレスで契約を締結できる電子契約は、近年多くの企業で導入が進んでいます。
非常に便利な契約方法ですが、「セキュリティ面が不安」「興味はあるが導入の仕方がわからない」といった理由で導入に踏み切れていない企業様もいるでしょう。

そこで本記事では、電子契約の概要や導入の流れ、また、その際の注意点などを解説します。
社内のDX化を推進したいとお考えの担当者様は、ぜひ参考にしてみてください。

電子契約とは

電子契約とは、電子化した契約書をメールなどで相手に送信し、電子署名してもらうことで締結が完了する契約のことです。

従来の紙の契約書と同様に、文書作成ソフトを使って文面を作成しますが、締結処理には電子契約の専用ツールを利用します。

電子契約の導入率

ほかの企業が、どの程度電子契約を導入しているのかは、気になりますよね。
一般財団法人日本情報経済社会推進協会と株式会社アイ・ティ・アールが実施した『企業IT利活用動向調査2023』によれば、電子契約を利用している企業は73.9%にも上ります。

また、導入には至っていないものの「電子契約の利用に向けて準備・検討」していると回答した企業は13.2%でした。
この調査結果から、87.1%もの企業が電子契約の利用に前向きであることが明らかになり、近い将来ほとんどの企業が電子契約を導入していくと予想できます。

参照元:「企業IT利活用動向調査2023

電子契約の導入が増加している背景

電子契約の導入拡大には、次の3つの背景が関係しています。

【電子契約が普及した理由】

  • ・ペーパーレス化への動き
  • ・新型コロナウイルスの流行
  • ・電子契約に関する法改正

 

業務効率化や環境保全の観点から、政府主導でペーパーレス化が推進されています。
電子契約もその一環として、徐々に普及しているというのが、導入増加の背景の一つです。
さらに、新型コロナウイルスの感染防止対策としてリモートワークが広まったことで、オンラインで契約を進められる電子契約が重宝され、普及の後押しになりました。

また、契約書に関わる法律が改正されて、あらゆる契約の電子化が認められるようになったという背景もあります。
このように、社会全体として電子契約を取り入れる下地が整ったというわけです。

電子契約のメリット・デメリット

電子契約の導入によって得られるメリットは、以下のとおりです。

【電子契約のメリット】

  • ・業務を効率化する
  • ・管理が容易になる
  • ・コストカットにつながる
  • ・出社せずに作業できる

 

紙の契約書を締結する場合は、書類を印刷して郵送しますが、電子契約であればそうしたプロセスを省くことができます。
書類を郵送してから返送してもらうまでの時間も短縮できるので、契約に関わる業務が大幅に効率化されます。
さらに、契約書類をファイリングする手間や、物理的な紛失のリスクもありません。

また、インターネット上で契約を交わすので、書類の受け取りや、押印のために出社が求められることがなく、リモートワークが浸透した昨今、社員の負担軽減に貢献できます。

なお、電子契約にはこういった多くのメリットがある一方で、新しいサービスの導入にともなうデメリットがあるのも事実です。
電子契約のデメリットとしては、業務フローが変わってしまう点と、取引先の理解を得なければならない点の2つが挙げられます。
紙媒体の契約書とは業務の進め方が異なるので、初めは戸惑う社員もいるでしょう。
こうした変化が生じることについて、社内に理解を求めるだけでなく、取引先にも納得してもらう必要があります。

関連記事>>電子契約のメリット・デメリットを徹底解説

電子契約を利用する方法

電子契約には、主に2通りの方法があります。

方法①文書作成ソフトで契約書を作成し、メールで送信

すぐに導入できる電子契約の方法は、WordやExcelといったソフトを使用して契約の文面を作成し、メールで送るというものです。

簡単で便利な方法ですが、第三者によって内容を改ざんされる可能性があるため、税務上の契約には適していません
また、後々見返す際に、メールフォルダ内を検索しなければならないので、探す手間がかかってしまいます。

方法②電子契約システムを利用

電子契約に特化したシステムを利用して、契約を交わすという方法もあります。

専用のシステムであれば、契約書の送受信から保存、検索までをひとつのツール内で完結できるので、契約業務をより効率的に進められます。
また、改ざん防止の高度な機能が備えられているので、セキュリティ面においても安心です。

ほとんどの電子契約システムがブラウザ上で利用できるので、自社も契約相手もソフトウェアのインストールが不要なのも嬉しいポイントです。

電子契約システム導入の流れ

電子契約システム導入の流れ

ここからは、実際に電子契約システムを導入する際の手順を解説しますので、参考にしてみてください。

ステップ①導入する目的を明確にする

まずは、電子契約によって何を解決したいのか、導入の目的を明確にします。
電子契約システムは、商品によってプランや機能が異なるため、初めに目的を定めておかなければ、ニーズにマッチしないものを選んでしまう可能性があるのです。

紙の契約書を電子化して印刷・郵送の手間を減らせれば十分なのか、それとも既存のITツールとも連携させたいのかなど、考えをまとめておきましょう。

ステップ②現状の契約書管理体制・ワークフローを見直す

適切な電子契約システムを選ぶには、現在の契約書の管理体制およびワークフローの見直しが欠かせません。
たとえば、次の項目に着目すると、それらを正確に見直すことができます。

【契約書管理体制の確認項目】

  • ・契約書の種類
  • ・作成する頻度
  • ・契約までにかかる時間
  • ・契約書の保管方法

 

ワークフローの見直しでは、どの工程に時間がかかり、業務の遂行を妨げているのかを洗い出します。
こうすることで、現状の課題が明らかになり、自社に適したシステム選びに役立ちます。

ステップ③電子契約システムを選定する

ここまでのステップで明確になった課題を踏まえて、解決に適した電子契約システムを選んでいきます。

資料請求や見積もりを依頼し、複数のシステムを比較したうえで自社に適した商品を選びましょう。

また、一度にすべての契約書を電子化すると、業務に混乱が生じるリスクがあります。
「初めは人事部のみで導入する」といったふうに部署を限定して、段階的に導入するのがおすすめです。

ステップ④電子契約のルールを整備する

使用するシステムが決まったら、電子契約に関するルールを策定します。
新たなワークフローのほか、システムの管理者や管理方法なども決定し、業務マニュアルに追加しましょう。

社内研修を実施すると、導入をスムーズに進められます。

ステップ⑤社内外に電子契約の導入を周知する

システムの選定とルール整備まで完了したら、社内と取引先に、電子契約を導入する旨を伝えます。

新しいシステムは慣れるまでに時間がかかるので、不安や抵抗感のある社員や取引先もいるかもしれません。
そのため、社内で説明会を開催して、電子契約の有用性やシステムの使い方などを丁寧に周知しましょう。
自社の社員が電子契約の理解を深められれば、取引先にも説得力のある説明ができるようになり、同意を得やすくなります。

また、実際に使い始めてからの疑問点やトラブルに対応できるように、問い合わせ窓口を設けると、周囲の導入への不安をやわらげられます。

電子契約導入時の注意点

以下では、電子契約の導入時に押さえておきたい4つの注意点を紹介します。

注意点①契約書の種類によっては、電子契約を導入できない

ごく一部ではありますが、電子契約に対応していない書類もあります。

【電子契約に対応していない書類の例】

  • ・定期借地契約書
  • ・定期借家契約書
  • ・宅建業者の媒介契約書
  • ・不動産売買における重要事項証明書
  • ・任意後見契約書
  • ・訪問販売等で交付する書面

 

こうした書類は、必ず書面で契約を交わさなければならないため、事前に確認しておきましょう。

注意点②検索機能を確保する必要がある

電子契約は、文書を電子データで保存する際のルールを定めた「e-文書法」の要件を満たす必要があります。
e-文書法の要件は各府省で異なりますが、主に「見読性」「完全性」「機密性」「検索性」の4つが適用されます。
それぞれの概要は、下記の表をご確認ください。

e-文書法の主な要件の概要
要件 概要
見読性 電子データの情報をすぐに確認できること
完全性 改ざんや消去が防止でき、仮に改ざんや消去が行われてもその事実がわかること
機密性 不正アクセスや情報漏えいを防止できること
検索性 必要に応じて電子データの情報をすぐに引き出せること

4つの要件のうち、「見読性」「完全性」「機密性」の3つは電子署名とタイムスタンプという一般的な機能があることで担保されていますが、「検索性」に関しては要確認です。
なぜなら、お使いの電子契約システムに検索機能が搭載されていないと、この検索性を満たしていないと判断されてしまうためです。

ただし、検索機能といっても必ずしも絞り込み検索ができる必要はなく、日付・取引先・取引金額を記載し、キーワード検索ができれば問題ありません。

参照元:「電子媒体による公文書等の管理・移管・保存の検討のための論点整理

注意点③電子契約化すべき契約書を漏れなく抽出する

前述のように、導入直後からすべての文書を電子化すると現場が混乱してしまいます。
そのため、電子化したい契約書をすべて抽出し、反対に電子化するべきではない文書とより分けましょう。

導入する電子契約システムが重量課金制なら、契約書の枚数が少ないほどコストを抑えられます。

注意点④印章管理規程を電子署名管理規程に変更する

社内で使用する印鑑の種類・保管方法・使用時のルールを取り決めたのが「印章管理規程」です。
これは、紙の契約書を前提とした規程なので、電子契約を導入する場合は、印章管理規程の修正が求められます。

さらに、印章管理規程ではカバーできないルールは、新たに「電子署名管理規程」を制定しなければなりません。

電子契約システム選定の7つのポイント

電子契約システムの選び方

電子契約システムとひとくちに言っても、さまざまな種類があるため「どれを選んだらよいのかわからない」と悩まれているかもしれません。
そこで、電子契約システムの選定時に押さえておきたい、7つのポイントを紹介します。

ポイント①電子帳簿保存法への対応

電子契約システムを選ぶ際は、電子帳簿保存法に対応した商品を選びましょう。
電子帳簿保存法は、一定の要件を満たすことで帳簿書類の電子データでの保存を認めること、および電子契約書の保存に関するルールを定めた法律です。

契約自体は、双方の合意があれば、契約書がなくても正式なものとして認められる旨が民法で定められています。
しかし、万が一トラブルが起きた際は、契約の正当性を証明するために、電子帳簿保存法に対応した電子契約を交わしていることが重要になるのです。
したがって、システムの選定時は、この法律の要件を満たした商品を選ぶことをおすすめします。

電子帳簿保存法はこれまで繰り返し改正されており、今後もDX化に向けて改正が予想されます。
電子契約システムの導入時には、最新の情報を確認しておきましょう。

参照元:「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律

ポイント②セキュリティ面

電子契約では、社内の機密情報や相手の個人情報のやり取りにインターネットを介します。
その過程で情報を抜き取られるリスクがあるため、電子契約システムの選定時にはセキュリティ面も重視しましょう。

セキュリティ対策としては、SSL/TLSを使用した暗号化や、2つ以上の要素を組み合わせでログイン認証を行う多要素認証などが挙げられます。

ポイント③タイムスタンプの使用可否

タイムスタンプとは、「時刻認証局(TSA:Time-Stamping Authority)」が発行する、電子契約書に日時を付与する仕組みです。
タイムスタンプがあれば、その日時には契約書が存在したことや、その日時以降に文書が改ざんされていないことも証明できます。

インターネットを通じて契約を交わす性質上、電子契約にとって、サイバー攻撃から身を守り、法的効力を担保することは非常に大切です。
タイムスタンプは、文書の改ざんや捏造を防げるので、法的効力を維持するためにぜひとも備わっていてほしい機能です。

ただし、タイムスタンプとあわせて、電子署名も備わっていなければ十分な証拠能力がないため、両方がそろったシステムを選びましょう。

ポイント④使いやすさ

電子契約の大きな意義の一つは業務の効率化なので、「システムが難しくて使えない」「かえって作業に時間がかかるようになった」といった事態になっては本末転倒です。
多機能なシステムほど使いづらい傾向があるので、本当に必要な機能は何かを考えて優先順位を決めましょう。

また、システムの操作方法が理解できずに使いこなせないといった事態を防ぐためにも、導入前に社員や取引先のITリテラシーを高めておくことも重要です。

ポイント⑤コスト

電子契約システムを選定するうえでは、コストと導入効果のバランスも考慮するべきです。

業務を効率化するもので、企業の売り上げに直接作用するものではないので、あまりにも高額なシステムを選ぶと効果に対して負担が大きくなってしまいます。

電子契約システムの費用相場

電子契約システムの利用料には、商品やプランの違いによって、安くて月額数千円、高いものだと月額10万円と、非常に幅広い価格帯があります。
スタンダードなプランであれば、月額1万~2万円程度が相場です。

1か月の無料体験サービスを提供している企業も多いので、いくつかのシステムを試したうえで、コストパフォーマンスの高い商品を選びたいところです。

ポイント⑥導入前後のサポート体制

電子契約の導入は、企業にとって大きな変化をもたらします。
そのため、導入直後は、社内外で使い方に関する疑問が寄せられることもあるでしょう。

電話での問い合わせを受け付けていたりなど、サポート体制が充実したシステムを選んだりすると導入後も安心です。

ポイント⑦既存システムとの連携

現在すでにお使いの基幹システムや、帳票システムなどのITツールがある場合は、電子契約システムをそれらと連携させると、業務をより効率化できます。

たとえば、社内の基幹システムと連携させると契約業務のプロセスがシームレスになり、作業時間を短縮できます。
顧客管理システムと連携できれば、顧客データを共有することも可能です。

システムによって連携の柔軟性は変わるので、選定時に確認してみましょう。

電子契約を導入して業務効率化とコストカットを実現しよう

いかがでしたでしょうか。

電子契約を導入すれば、書類の印刷や郵送の手間が省けて業務を効率化できるほか、あらゆる契約書を同一システムで一括管理できるようになります。
また、印刷代や郵送代のコストカットや、出社の負担の軽減も叶います。

導入時は、契約書が電子化に対応しているかどうかという点や、検索機能の有無を確認しましょう。

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資料請求や無料トライアルも承っておりますので、電子契約に少しでもご興味をお持ちの方は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。