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電子契約のメリット・デメリットを徹底解説

電子契約は、近年進んでいるDX化の一環として多くの企業で取り入れられています。
ペーパーレスになることで、契約業務の負担の軽減につながるさまざまなメリットを享受できますが、いくつかのデメリットがあるのも事実です。

そこで本記事では、電子契約のメリットとデメリットを詳しく解説します。
きちんと特徴を把握したうえで、自社にも電子契約を導入したいとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。

電子契約とは

電子データに電子署名することで締結される契約を、電子契約といいます。
旧来の紙媒体とは異なり、印刷や郵送が不要で、電子メールまたは電子契約の専用ツールを介して契約を結びます。

書面での契約と、電子契約の違いは以下のとおりです。

契約媒体による違い

書面での契約 電子契約
契約媒体 電子データ
押印の方法 印鑑 電子署名、電子サイン
契約成立の証拠になるもの 押印、署名 電子署名、タイムスタンプ
送付方法 郵送、持参 インターネット通信
保管場所 書棚 サーバー

 

電子契約であれば、書類を直接手に取って対応する作業がなくなるほか、サーバー内で電子データを保管するため、契約書を紛失するリスクも減らせます。

電子契約の6つのメリット

ここからは、電子契約の導入によって得られる6つのメリットを解説します。
電子契約が、自社が抱えている課題の解決手段になりうるかどうか、判断する際の参考にしてみてください。

メリット①業務効率の改善

電子契約のメリットとして、印刷や押印、郵送の手間が省けるという点が挙げられます。
これらの手間が減ることで、社員だけでなく、送付相手の業務負担も軽減されます。

また、契約書を郵送してから再び受け取るまで、通常1週間ほどかかりますが、相手が書類に気がつかなかった場合はさらに遅延するケースも少なくありません。
その点、電子契約であれば、送付相手の手続きの状況を確認して適切なタイミングでリマインドできるので、返送の遅れを防げます

このように、電子契約を導入すれば、契約締結までの工程や日数が省略されて、業務効率が改善されます。

メリット②コスト削減

電子契約によってペーパーレス化できるので、印刷代や郵送代が発生しません。
また、契約書を作る際に課税される印紙税がかからなくなるため、多くの契約書を作成している場合は、大幅なコストカットが可能です。

細かなところで言えば、契約書を収納する新たな書棚の購入費や、契約書を探すのにかかる人件費を節約できることによって、間接的なコストカットにもつながります。

メリット③コンプライアンス強化

紙の契約書の管理がずさんな場合は、紛失や第三者による改ざんのリスクがあります。

しかし電子契約なら、契約書を電子データとしてサーバー内で保管できるので、物理的な紛失の可能性がありません。
また、「タイムスタンプ」の機能で改ざんを防止できるのも、心強いポイントです。

タイムスタンプは、発行された時刻より前から契約書が存在していたこと、およびその時刻以降に改ざんが行われていないことを証明できる技術です。
電子契約の専用システムには、タイムスタンプの機能が備わっており、契約書を不正のリスクから守ってくれます。

専用システムを利用する場合は、契約書にアクセスできる人物に制限を設け、さらなるコンプライアンスの強化が可能です。

メリット④契約期限の管理工数の削減

多くの電子契約システムには、契約期限を知らせるアラート機能が付いています。

契約期限は、契約の終了または継続を決定するために把握しておかなければならないものですが、契約数が多いほど管理が困難になります。
そこで、契約の満了日や、自動更新の期日を事前に通知するよう電子契約システム上で設定しておけば、期限の見落としを防ぐことが可能です。

契約期限を一つひとつ確認する必要がなくなるので、管理工数の大幅な削減を実現できます。

メリット⑤テレワークへの対応

新型コロナウイルスの蔓延により、この数年間でテレワークが急速に普及しました。

しかし、電子契約を導入していない企業では、せっかく在宅勤務を実施していても、契約書に印鑑を押すためだけに出社しなければならないといった事態が起こりえます。
今後、新型コロナウイルスの流行が収束しても、働き方改革の一環としてテレワークは継続していくことが予想されます。
在宅勤務で業務効率を上げるためにも、電子契約の導入は重要です。

メリット⑥書類の保管・管理の工数削減

紙の契約書を使用する場合、ファイリングしてオフィス内の書棚に収納するのが一般的な保管方法でした。
この方法だと、契約のたびにファイリングの手間がかかるうえ、書類の増加にともなって書棚の拡張も必要になってしまいます。

一方で、電子契約を利用する場合は、サーバー内でデータを管理するので、書類整理の工数がかからず、新たな保管スペースの確保も必要ありません。
収納の拡張にコストがかからないので、長い目で見ても節約につながります。
原本がオフィスにないことで、紛失や災害による書類の喪失リスクを減らせるのも、安心できるポイントです。

また、電子契約の専用システムの検索機能を使用すれば、容易に閲覧したい契約書を探し出せるので、大量のファイルのなかから書類を見つける煩雑さもなくなります。

電子契約の6つのデメリット

複数のメリットがある電子契約ですが、デメリットも存在します。

デメリット①電子帳簿保存法への対応が必要になる

電子契約を利用するには、電子帳簿保存法に対応しなければなりません。

電子帳簿保存法は、条件を満たせば帳簿書類を電子データで保存してもよいことや、電子契約で扱う情報の保存義務を定めた法律です。
万が一、契約にトラブルが発生した際には、契約書の正当性を証明するために、この法律の規定に則したかたちでデータを保管しておく必要があります。

電子契約システムを導入する場合は、電子帳簿保存法に対応しているシステムを選びましょう。

デメリット②電子契約に対応していない契約書もある

すべての書類が、電子契約に対応しているわけではありません。
以下に挙げる例をはじめとして、一部、書面での契約が義務付けられている書類があるため、導入前に確認しておきましょう。

【電子契約に対応していない書類の一例】

  • ・宅地建物売買等媒介契約
  • ・定期借地契約・定期建物賃貸借契約
  • ・マンション管理業務委託契約
  • ・訪問販売等特定商取引における交付書面

 

なお、2021年1月から、従来は紙の契約書しか認められていなかった労働者派遣(個別)契約書の電子化が許可されました。
このように、今後も対応できる書類の増加が期待されています。

デメリット③業務フローを見直さなければならない

電子契約の導入にあたって、従来の業務フローの見直しが求められます。

主業務もこなしながら、フローの見直しも進めることに負担を感じる従業員が多い企業もあるかもしれません。
また、電子契約システムの操作方法を教える勉強会の開催や、使用ルールの策定も必要になるなど、導入時は手間がかかります。
少しでも負担を減らすためにも、できる限り繁忙期を避けて導入の計画を立てましょう。

デメリット④社内調整に工数がかかる

新しい仕組みを導入するとなれば、抵抗感を示す社員もいるでしょう。

特に、業務に対して保守的な考えをもっている社員や、ITスキルにあまり自信がない社員からは、電子契約は歓迎されないかもしれません。
導入による効果を説明して説得しなければならず、社内調整に予想以上に時間がかかるケースも起こりえます。

しかし、多くの電子契約システムは難しい操作が不要です。
1か月無料で使用できるシステムもあるので、一度試して、簡単に使えることを実感してもらうのも一つの手です。

デメリット⑤セキュリティ面に注意しなければならない

サイバー攻撃により、電子データの漏えいや改ざんが発生するリスクはゼロではありません。

そうした事態を防ぐには、2つ以上の要素でログインを認証する多要素認証を求めたり、アクセス権限を細かく設定できたりする電子契約システムを選ぶことが重要です。
システムの選定時には、セキュリティ対策が万全であるかどうかも重視しましょう。

デメリット⑥取引先の理解・協力を得る必要がある

電子契約の導入には、社内だけでなく取引先の理解も欠かせません。

導入に難色を示された場合は、電子化によって得られる効果や、法的な有効性を説明して説得にあたりましょう。

それでも許可してもらえなければ、書面と電子契約を併用するのが現実的な解決策です。
書面で契約を結んだあと、取引先には紙で契約書を保管してもらい、社内では電子データで保管しておきます。

電子契約しか扱わないと決めてしまうと、契約のチャンスを逃す可能性があるので、柔軟性をもって対応するのが大切です。

電子契約に関連する法律

電子契約の導入に際して、関連する法律は把握しておきたいところです。
ここからは、電子契約に関わる4つの法律の概要を紹介します。

電子帳簿保存法

前述のとおり「電子帳簿保存法」は、帳簿書類の電子化の要件や、電子契約時の情報の保存義務などを定めている法律です。
略して「電帳法」とよばれることもあります。

本来は、紙での保管が不可欠だった税金に関する書類であっても、電子帳簿保存法で定められている要件を満たせば、電子データとしての保存が認められます。

要件は大きく分けて、「真実性の確保」と「可視性の確保」の2つです。
「真実性の確保」は、電子データの保存時に改ざんされていないことを証明するもの、「可視性の確保」は誰でもデータを確認できることを示すものです。

これら2つに当てはまる、具体的な要件を下記にまとめました。

電子帳簿保存法の要件

要件 概要 帳簿 書類
真実性の確保 訂正または削除を行った場合に、事実および内容を確認できること ×
通常の期間を経過したあとに入力を行った場合に、その事実を確認できること ×
電子化された帳簿書類の記録事項と、その帳簿に関連するほかの帳簿の記録事項とのあいだで、相互に関連性を確認できるようにしておくこと ×
システム関係書類(システム概要書、システム仕様書、操作説明書、事務処理マニュアルなど)を備え付けること
可視性の確保 電子データを保存する場所に、電子計算機・プログラム・ディスプレイ・プリンタと操作説明書を備え付け、記録をディスプレイの画面や書面に、整然とした形式および明瞭な状態で、速やかに出力できること
取引年月日・勘定科目・取引金額・そのほかの主要な記録項目を、検索条件として設定できること
日付または金額の範囲を指定して条件を設定できること
2つ以上の任意の記録項目を組み合わせて、条件を設定できること ×

 

なお、帳簿とそのほかの書類では適用される要件が違う点には注意が必要です。参照元:「電子帳簿保存時の要件

電子署名法

電子署名に法的な効力をもたせるための要件を定めた法律が、「電子署名法」です。

「条文をすべて理解するのは難しい」と思われるかもしれませんが、第2条と第3条の内容を把握していれば、実務において大きな問題はないでしょう。

第2条と第3条の条文を以下に引用します。

第二条 この法律において「電子署名」とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。
一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。
二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。
2 この法律において「認証業務」とは、自らが行う電子署名についてその業務を利用する者(以下「利用者」という。)その他の者の求めに応じ、当該利用者が電子署名を行ったものであることを確認するために用いられる事項が当該利用者に係るものであることを証明する業務をいう。
3 この法律において「特定認証業務」とは、電子署名のうち、その方式に応じて本人だけが行うことができるものとして主務省令で定める基準に適合するものについて行われる認証業務をいう。

第三条 電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

引用元:「電子署名及び認証業務に関する法律

要約すると、第2条では、署名したのが本人である点と、改ざんされていない点を証明できれば電子署名が法的な効力をもてると定められています。
また、第3条は、署名の本人性が明確であれば、契約の成立を認めるという内容です。

e-文書法

「e-文書法」は、これまで書面での保管が税法や商法で義務づけられていた文書を、電子的に保存することを認める法律で、「電子文書法」とも呼称されます。

e-文書法の要件は、府省ごとに異なりますが、基本的な要件は「見読性」「検索性」「完全性」「機密性」の4つです。

見読性は、必要に応じて電子データをすぐに閲覧・出力できること、検索性は、確認したいデータをスムーズに引き出せることを表します。
完全性は、データの改変や消去を防止するとともに、仮に改変・消去が起きてもその事実がわかるように記録しておくことを意味します。

また、許可されていない人物のデータへのアクセスを防ぐのが機密性です。

参照元:「電子媒体による公文書等の管理・移管・保存の検討のための論点整理

IT書面一括法

「IT書面一括法」は、一定の条件を満たせば、書面の交付や提出が必要な書類に、電子メールや電子ファイルなどの使用を認める法律です。
金融庁、総務省、財務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省がそれぞれ定める法令を一括して改正することを目的としています。

この法律によってあらゆる書類を電子化できるようになりましたが、以下の書類は電子化が未だに認められていません。

電子化が認められていない書類の例

  • ・定期借地契約書
  • ・定期借家契約書
  • ・宅建業者の媒介契約書
  • ・不動産売買における重要事項証明書
  • ・任意後見契約書
  • ・訪問販売等で交付する書面

なお、相手の合意がない状態で電子化を進めるのは違法となってしまうので、必ず許可を取りましょう。

電子契約導入の流れ

以下は、電子契約システムを利用して、契約を電子化する際の基本的な手順です。

電子契約導入の流れ

  1. 1.導入の目的を明確にする
  2. 2.電子契約を適用する範囲を決める
  3. 3.電子契約システムを選定する
  4. 4.システムの利用ルールを作成する
  5. 5.社内外の理解を得る
  6. 6.電子契約を導入する
  7. 7.マニュアルや社内研修を準備する

導入前に電子化で何を解決したいのかを明確にしておくと、自社に適した電子契約システムを選ぶ基準を見つけられます。
導入後は、社員が電子契約に適応できるように、マニュアルの準備や、社内研修の開催にあたりましょう。

関連記事>>電子契約の導入の流れとは?導入時の注意点も解説

電子契約を導入して契約業務の効率化やセキュリティ性能の向上を実現しよう

いかがでしたでしょうか。

電子契約のメリットとしては、業務効率の改善やコスト削減、コンプライアンスの強化などが挙げられます。
また、オンラインで契約が完結するので、テレワークで契約業務ができる点や、アラート機能で契約期限を管理する工数を減らせる点も魅力です。

一方で、電子契約に未対応の書類があることや、導入時に社内や取引先に理解を得なければならないことはデメリットと言えます。

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