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不動産業界のDXとは?DXのメリットや成功事例を解説

デジタル技術の進歩とともに、あらゆる業界でDXが注目されています。
それは、アナログな商習慣が根付く不動産業界においても例外ではありません。

しかし、DXの重要性は理解しているものの、体制を変革させるにあたり、何から取り組んだらよいものかと、思案中の事業者様も多いことでしょう。

本記事では、不動産業界におけるDXの概要や実際の成功事例を解説します。
デジタル技術を導入して組織を刷新したい方は、ぜひご覧ください。

不動産DXとは

DXとはデジタルトランスフォーメーションの略で、デジタル技術によって組織や業務にもたらされる変革を指します。
不動産業界においては、物件の管理や書類手続きをオンライン上で完結させることで、業務の効率化と生産性の向上が期待できます。

不動産DXに並んで、近年耳にする機会が多い言葉が「不動産テック」です。
こちらは、不動産とテクノロジーをあわせた造語で、テクノロジーによって不動産業界の変化を目指す取り組みを指します。

新しい技術に適応していくには、どちらも覚えておきたい重要な概念です。

不動産業界のDX推進状況

デジタル化が遅れている不動産業界ですが、2022年に行われた「不動産業界のDX推進状況調査」によると、DXに取り組んでいる企業自体は少なくありません。

調査結果は、DXについて「取り組んでいる(いた)・取り組む予定」と回答した不動産会社が71%と、多数を占めていました。
導入を検討しているシステムでもっとも多かったのは「電子契約」です。

新型コロナウイルス流行の影響により、DXを推進しようという事業者は増加傾向にあります。
今後はほかの業界と同様に、不動産業界でもDXが進むのは間違いありません。

参照元:全国賃貸住宅新聞【6社合同DX推進状況調査】

不動産業界におけるDXの例

不動産業界におけるDXには、どのようなものがあるのでしょうか。
具体的にイメージできない方に向けて、代表的な不動産DXの例を紹介します。

電子契約システム

電子契約システムを使えば、オンライン上で不動産の契約を締結できます。

従来は契約に必要な書類の一部で、電子化が認められていませんでした。
しかし、法改正によって2022年5月以降、電子契約が全面解禁されています。

電子契約を導入すれば、ペーパーレスが推進されるだけではなく、遠方の顧客ともスムーズに契約を締結できます。

関連記事>>電子契約のメリット・デメリットを徹底解説

Web接客システム

Web接客システムとは、その名の通り、オンライン上で顧客に接客できるシステムです。

顧客のなかには、遠方に住んでいたり、仕事が忙しかったりと、さまざまな理由で店舗に訪問できない方も存在します。
Web接客システムを用いれば、顧客は在宅のままで、不動産会社から接客を受けることが可能です。

接客にかかる時間を大幅に短縮できるので、事業者は、より多くの顧客にアプローチをかけられます。

関連記事>>オンライン接客とは?メリットやデメリットを詳しく解説

関連記事>>不動産業界でのオンライン接客を成功させるポイントを紹介

チャットツール

今では多くの企業が導入している、チャットツールもDXの代表です。
チャットツールでやり取りすれば、毎回メールアドレスを入力したり、形式や文面を意識したりせずに、気軽にコミュニケーションを取ることができます。

チャットツールは社内だけではなく、顧客にとっても便利なツールなので、積極的に活用しましょう。

不動産管理システム

不動産管理システムを導入すれば、物件や顧客のデータを一括管理できます。

これらのデータを紙で管理していると、情報の確認や更新作業に多くの時間を要します。
しかし、不動産管理システムを用いて管理すれば、膨大なデータに瞬時にアクセスすることが可能です。

今後の不動産業界では、業務効率化を目指すうえで、不動産管理システムが欠かせない存在となるでしょう。

不動産DXのメリット

さて、このようなDXツールを使うと、不動産会社にはどのような恩恵があるのでしょうか。
ここからは、不動産DXのメリットを紹介します。

メリット①顧客満足度向上につながる

不動産DXのメリットとして最初に挙げられるのは、顧客満足度の向上です。

たとえば、わざわざ店舗に足を運ぶことなく、オンライン上で接客を受けられたり、契約締結までの時間が短くなったりと、顧客にとっても多くの利点があります。
そのため、不動産取引の利便性が高まれば、自然と顧客満足度が向上し、事業者の評価も高まります。

メリット②業務が効率化できる

多くの業務で効率化が期待できる点も、不動産DXのメリットです。

DXツールを導入すれば、これまで手動で行っていた業務に要する時間が短縮されます。
アナログな業務から脱却すれば、ヒューマンエラーの削減にもつながります。

ミスに対応しなければならない時間が減れば、業務効率化が実現し、生産性が向上するはずです。

メリット③労働力に余裕が生まれる

不動産DXは、人材の流出を防止し、労働力を確保するのに役立ちます。

不動産業界では、入職者の減少や離職者の増加対策が課題となっています。
DXツールによって、データの入力や紙の契約書の管理といった、雑務にかかる時間が削減されれば、これまで以上にコア業務に集中することが可能です。
空いたリソースを新人の教育や育成に割けば、従業員の定着にもつながります。

不動産DXは、少ない人数で業務を回せるメリットにくわえ、人材の流出防止にも貢献するなど、労働力に関する多くの問題を解決します。

メリット④新たなサービスやビジネスモデルが生まれる

アナログな体制からの脱却は、新たなサービスやビジネスモデルを生み出すことにつながります。
DXの推進によって、既存の体制では見えなかった顧客のニーズに対応できるようになり、新たな付加価値を創出しやすい環境が生まれます。

経済産業省による、DXの定義は以下の通りです。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

引用:経済産業省『デジタルガバナンス・コード2.0』

DXが正しく進めば、競合と差別化された優位性の獲得も期待できます。

不動産DXのデメリット

次に、不動産DXのデメリットについても確認しておきましょう。
メリットとあわせて目を通したうえで、DXツールの導入を検討してください。

デメリット①導入までに時間とコストがかかる

企業がDXを成し遂げるために、ある程度の時間と導入コストが発生するのは、やむを得ません。
既存の体制から移行するために、DXは長期的な視野で取り組む必要があります。

すぐに成果に結びつかないとしても、途中でやめては、それまでにかけた時間やコストが無駄になってしまいます。
DXに取り組む際は、一定の時間とコストを要するのが不可欠だと、最初に理解しておきましょう。

デメリット②ツール選定の難易度が高い

不動産DXのデメリットとして、ツール選定の難しさも挙げられます。
世界中のさまざまな企業がDXツールを開発・販売していますが、電子契約システムやWeb接客システムなど、自社に適したツールを一つひとつ選定するのは大変です。

選定の手間を省くには、複数の機能を要したツールを導入するのがおすすめです。
弊社の『DX360』は、電子契約システムやWeb接客システム、SFAなどが、1つのパッケージになっており、必要な機能を組み合わせて活用できます。

デメリット③DXの成功率は高くない

企業が実際にDXに踏み切ったとしたら、“成功率”はどの程度でしょう。
実は調査結果が出ています。

ボストンコンサルティングファームが2020年に実施した調査では、日本の企業がDXに成功した割合は14%と、各国平均の30%と比べて大幅に低いことがわかりました。
「そんなに低いのか!」と驚かれたかもしれませんが、ここから読み取れるのは、DXに対する企業の自己評価が厳しいことでしょうか。
そもそも、何をもってDXの成功とするのかも、掴みきれていないことが考えられます。

DXを導入する際には、長期的なビジョンと、ときに大胆な戦略が求められるのは確かですし、投資額の大きさも重要な要因ではあります。
しかし、いざ導入を決めたのであれば、あまり深刻に考えすぎず、業務効率化ツールとして成果が出るまで、しばらく取り組んでみてはいかがでしょうか。
アンケート結果はどうあれ、存外満足のいく結果が出るかもしれません。

参照元:デジタルトランスフォーメーションに関するグローバル調査

DX推進に向けた不動産業界の課題

ここまでで、不動産DXの特徴を理解していただけたでしょうか。
いくつかデメリットもあるものの、DXは、長期的には事業者の利点につながります。

しかし、不動産業界では他業界に比べ、DXが進んでいるとはいえないのが現状です。
ここからは、不動産業界がDXを推進するために解決しなければならない課題を取り上げます。

課題①アナログな商習慣

アナログな商習慣の常態化は、不動産業界の大きな問題です。
不動産取引では、事業者と顧客が電話でやり取りするのが一般的で、紙の契約書やFAXが使われる現場も珍しくありません。
業界全体がどっぷりアナログに浸かっているため、DXを根付かせるには時間がかかるでしょう。

しかし、だからこそ、DXの推進による業務効率化のメリットは大きいといえるのです。
長期的視野で少しずつでもDXを進めていくことが望まれます。

課題②消費者ニーズの変化

不動産業界にいると、消費者ニーズ多様化の現実からは目を背けられません。

一戸建ての住宅を購入するのが一般的だった時代や、大量に団地が建設された時代、近年の都心のマンションブームなど、時の流れとともに需要のある住宅形態は変化します。
また、インターネットの普及により、手持ちのスマートフォンやパソコンから、事前にある程度候補の物件を絞り込むニーズが高まりました。

今後も社会情勢やデジタル技術の発達によって、消費者のニーズは変化していくと考えられます。
こうした消費者ニーズに応えるにも、DXを導入し、最新のテクノロジーを活用していくことが必要です。

不動産DXに成功するポイント

DXに取り組む不動産会社は多いものの、失敗するケースも少なくありません。
こうした取り組みを無駄にしないためにも、あらかじめ不動産DXに成功するポイントを確認しておきましょう。

ポイント①DX推進体制の組織づくり

不動産DXを成功させるには、社内全体でDXを推進する体制づくりが必要です。

DXを推進する体制を整えるために、組織のトップである経営者が、率先してDXの理解を深めなければなりません。
そのうえで、DXが必要な理由や今後の取り組みについて、社内全体で認識を共有しましょう。

ポイント②DX人材の活用

アナログな現場にDXを導入するときは、デジタル技術に精通した人材が欠かせません。
知識が不足した状態で闇雲に取り組んでしまっては、誤った戦略を採用し、かえって業務が非効率になる可能性があります。

社内に適切な人材が不足している場合は、外部の力を借りるのも一つの手です。

ポイント③DXの目的や現状の課題を把握する

DXの目的や現状の課題を握するのも、大切なポイントです。

目的や現状の課題が明確化できなければ、軸がぶれてしまい、失敗に陥るリスクが高まります。
なぜDXに取り組まなければならないのかを理解し、現状の課題を明らかにしましょう。

目標や現状の課題がはっきりしていれば、組織で共有し、一丸となってDXに取り組むことができます。

ポイント④本運用までに十分な研修を設ける

不動産DXを円滑に始めるには、仮運用のうちに、従業員に対して十分な研修を設けるのが効果的です。

DXツールを導入すれば、多くの業務で従来とは異なる方法が求められます。
従業員が混乱しないために、余裕のある移行期間を設定し、事前に十分な研修が必要です。

関連記事>>DX推進のプロセスは?成功させるためのポイントも紹介

不動産DXの成功事例

不動産DXに成功するポイントを押さえたら、あとは実践するのみです。
最後に、不動産業界を代表する大手企業の成功事例を紹介します。

三井不動産株式会社

三井不動産では、オフィスビルやショッピングモールなど、手掛けるすべての空間にデジタルを実装するため、社内にDX本部を設置しています。
独立していた決済システムと会計システムを統合して、フルクラウド化を実現したり、電子契約システムで印鑑レスを実現したりと、実際に多くの改革を実施しています。

DX推進に積極的に取り組んでいたことで、新型コロナウイルスが流行した2020年の緊急事態宣言後は、90%以上の社員がリモートワークへとスムーズに移行できました。

野村不動産ソリューションズ株式会社

2020年9月から不動産取引の電子化に乗り出した野村不動産では、手続きを一元で管理できるツールを導入しています。
ツールを活用すれば、重要事項説明や契約書への署名・押印といった手続きの負担が軽減でき、契約締結までにかかる時間を大幅に短縮できます。

野村不動産の電子化の取り組みは、現段階では個人の顧客に向けたものですが、今後は法人向け不動産仲介事業においても、同様に進めていく見通しです。

株式会社長谷工コーポレーション

マンション建設の最大手である長谷工コーポレーションでは、2021年から5年にわたる中期経営計画のなかで、DX推進を重点戦略の1つにしています。

DX推進にあたり、まずはグループ会社を含めた約8,000人の全社員に、オンライン上でDXに関する講義を実施しました。
社員一人ひとりの意識改革に取り組み、ビジョンの共有を図っています。

また、長谷工コーポレーションでは、設計から施工、販売や維持管理まで、一気通貫でデータを活用できる、独自のBIMを使用しています。

アットホーム株式会社

不動産情報の総合サイトを運営するアットホームは、対顧客サービスのDXと、社内業務のDXの両方を推進しています。

そのなかでも、顧客である不動産会社に対するサービスとして挙げられるのは、オンライン上で内見申込を受け付けられる「スマート案内予約」です。
不動産情報流通プラットホーム「ATBB(アットビービー)」と連動することで、内見関連業務をスムーズに行えます。

DXに取り組み、業務や組織を改革しよう

不動産業界はアナログな商習慣が常態化しているものの、2022年に電子契約が全面解禁されたことで、今後はDXに取り組む企業が増えていくと考えられます。

DXで成果を出すのは容易ではないため、事前に一定の手間と時間がかかる点を理解しておきましょう。
鍵を握る、自社に適したDXツールの選定は、難易度が高い作業です。

弊社では、さまざまなシステムが1つのパッケージとなっている『DX360』を提供しております。
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