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DX推進のプロセスは?成功させるためのポイントも紹介
業務効率の改善や生産性の向上などを目的として、DX推進が注目されています。
しかし、DXは専門性が高い分野であるため「どのようなプロセスを踏めばよいのだろう」と思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事では、企業のDX推進の重要性を解説するとともに、プロセスを円滑に進めるために押さえておきたいポイントを紹介します。
DX化をスムーズに進めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
DXの定義とは?
DXは、正式名称を「デジタル・トランスフォーメーション(Digital Transformation)」といいます。
直訳すると「デジタル化による変化・変革」です。
具体的には、企業がデータとデジタル技術を活用して、社内風土や提供するサービスを変化・変革させ、他社との競争力を強化する施策を意味します。
デジタル化やシステム開発にともなう新サービスの創造や提供を指すことが多いですが、申請手続きのペーパーレス化や、IoTツールの導入なども、広義ではDXに含まれます。
なお、経済産業省が公表する“「DX 推進指標」とそのガイダンス”では、DXを以下のように定義しているので、参考にしてみましょう。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や
社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務その
ものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
DX推進が重要視される理由
DXの概要や重要性は把握できたものの、ここ数年で、なぜここまで重要視されるようになったのでしょうか。
ここからは、企業のDX推進が推奨される理由を紹介します。
理由①消費者のニーズやマーケティングの市場が変化しているため
消費者のニーズとマーケティングの市場は、絶えず変化します。
特に、ネットワーク技術の発展は目まぐるしく、インターネットの普及率が8割を超える昨今では、消費者は通販サイトなどを通じて商品を購入できるようになりました。
店舗で商品を購入する従来のマーケティング方法だけでは、メーカーや小売店は競合他社に勝てない状態にあります。
DX推進によって市場のトレンドやユーザーのニーズを把握したうえで、インターネットを主体とした施策を行わなければ、競争上の優位性を確立することは難しいでしょう。
理由②「2025年の崖」があるため
現在、政府が警告を発している「2025年の崖」という問題をご存じでしょうか。
簡単にいうと「日本企業がDX推進を十分に行わないと、2025年以降に年間で最大で12兆円の経済損失が発生し、国際競争力も低下する」という警告です。
経済産業省が公表する“「DXレポート~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~”には、以下のように記載されています。
「複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合、2025 年までに
予想される IT 人材の引退やサポート終了等によるリスクの高まり等に伴う経済損失は、
2025 年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)にのぼる可能性がある。」
DXを実施せず、古いシステムを使いつづけると、業務効率や生産性の低下を招くだけでなく、情報漏洩をはじめとしたセキュリティ問題が生じるリスクも高まります。
日本の経済損失ならびに、企業の業績やセキュリティの低下を防ぐためにも、早急なるDX推進が重要であることがおわかりいただけるのではないでしょうか。
理由③将来的に人材の確保が難しくなるため
現在の日本は少子高齢化の進行ならびに出生率が低下しており、総人口は2008年をピークに減少しています。
2023年に1億2452万人いる日本の総人口は、2030年には1億1,662万人、2060年には8,674万人まで減少し、同時に国民の2.5人に1人が65歳以上になると予測されています。
超高齢化社会では人材確保が難しい課題となるため、DXの推進で生産性を向上させなければ、会社を存続させることも難しくなるでしょう。
参照元:総務省「我が国の労働力人口における課題」
参照元:内閣府「高齢化の現状と将来像」
DXの推進に必要とされる要素
ここからは、DX推進に欠かせない要素を解説します。
「DX化がスムーズにいかない」「かえって業務効率がさがってしまった」などの事態を避けるためにも、以下で挙げる項目は押さえておいてください。
要素①業務のデジタル化
DX推進では、まず従来のアナログ業務のデジタル化を検討しましょう。
具体例を挙げると、従業員へのタブレット端末の配布や電子契約ツールの導入、ビジネスチャットの使用などが挙げられます。
ただし、業務プロセスによってはデジタルの移行に時間がかかる、もしくは従業員が新しいツールを使いこなせず、かえって生産性が落ちてしまう可能性もあります。
すべての業務を一度にデジタル化するのではなく、業務プロセスを改善したうえで、シンプルなシステムから導入・変更してください。
要素②DX推進を専門とする部署の設置
DX推進は長期的に取り組むプロジェクトであり、施策を成功させるには、専門的な知識や技術が求められます。
主業務がある状態でDX推進に携わると、プロジェクトがスムーズに進められないだけでなく、作業の生産性を落としてしまう可能性があります。
DX推進を成功に導くためにも、社内に専門部署を新設したうえで、従業員が一丸となって取り組む体制を構築しましょう。
【プロセス別】DXの進め方
ここからは、DXの進め方を紹介します。
業務の効率化や生産性の向上を目指すためにも、以下のプロセスに沿って進めてみてください。
プロセス①DX推進の目的を設定する
DX推進のスタート時は、まず「なぜDXに注力するのか」「DXにより、なにを成し遂げたいのか」といった目的を決めます。
「新サービスを提供して業績をこれだけアップさせたい」「業務をデジタル化して、作業時間を半分にしたい」など、なるべく具体的かつ、現実的な目的を設定します。
関連記事>>【目的別】DXに役立つツール10選!選定時のポイントも紹介
プロセス②DX推進に向けて体制を整備する
DX推進の目的が決まったら、次に社内体制を整備します。
現在の業務内容や環境を確認したうえで、業務の改善点や問題点、デジタル化する業務内容などを明確にして、どのようにDXを進めるのか方向性を決めます。
「既存のシステムを統合して、業務を簡略化する」「紙媒体の申請手続きを廃止して、デジタルで手続きできるようにする」など、自社に合った手法を検討しましょう。
プロセス③優先順位を決めたうえでデジタル化を進める
DX推進にあたり、複数のシステムをまとめて刷新すると、従業員が変化に適応できず、現場が混乱してしまうこともあります。
このような事態を避けるためにも、DX推進では優先順位を決めたうえで、段階的に対応してください。
なお、デジタル化の内容ごとに、移行の難易度、ならびに業務への影響力は異なります。
業務効率や生産性を落とさないように、最初のうちは、資料のペーパーレス化や電子契約といった、難易度が低く、業務への影響が少ないものから変革することが望ましいです。
プロセス④PDCAサイクルをまわしてDXを推進する
DX推進でデジタル化を進めたら、プロセス①で掲げた目的を達成できているかどうか、つまりビジネスモデルが変革できているかを確認します。
そのうえで、DX推進を評価し、改善点や問題点が見つかった場合には、協議を重ねて、より優れたシステムにできるようブラッシュアップします。
DX推進は時間がかかる施策なので、継続的にPDCAサイクルを回しながらプロジェクトを進めましょう。
なお、DX推進の評価内容や基準は、経済産業省が公表している「DX推進指標」にも記載されているので、参考にしてみてください。
DX推進を成功させるために知っておきたいポイント
DX推進は長期間かつ工数がかかる施策であると同時に、プロジェクトの進行中にはトラブルやアクシデントが発生します。
ここからは、DX推進を成功させるために押さえておきたいポイントを紹介します。
ポイント①DX人材やIT人材を確保する
DX推進は副業務の一環で対応できるようなものではなく、専念しなければプロジェクトが頓挫するおそれがあります。
したがって、DXを専門とする人材の採用や育成に注力しなければ、施策をスムーズに進めることはできません。
時間をかけて、DXやITの知識をもつ人材を雇用し、DX推進を専門とする部署を設置したうえで、プロジェクトを進行させましょう。
ただし、DXは専門性が高く、経験者の数も限られているため、人材の確保が難しいです。
そのような場合は、自社で人材を育成するか、DX推進案件を専門に扱うコンサルタント会社に依頼するなどの対策を講じる必要があります。
ポイント②単なるデジタル化ではなく「DXの先」を考える
DX推進を実施する際は「DXで、どのようなことを成し遂げたいのか」までを考えます。
DXの目的が漠然としていると、プロジェクトの途中で方向性を見失ってしまうことも起こりえます。
そのため、「デジタル化によって、作業時間を2時間短縮する」「システムの開発で、利用ユーザーを10万人増やしたい」など、具体的かつ達成可能だと思える目的を設定しましょう。
ポイント③組織全体でDX推進に取り組む
DX推進を成功させるには、組織全体の協力が必要不可欠です。
特定の個人あるいは部署だけが対応するだけでは、現場の声を拾えず、視野が狭くなり、結果的に一部の業務しかデジタル化されないおそれがあるからです。
広い視野をもって取り組むためにも、部署ならびに従業員のヒアリングを徹底したうえで、組織全体の生産性や業務効率の改善を目指してください。
【事例つき】DX推進に成功した企業
DXの内容は幅広いので「具体的に、どのような事例があるのだろう」と思われている方もいらっしゃるでしょう。
適切な進め方やプロセスを経て、DXの導入に成功した企業を紹介します。
企業①日本交通株式会社
国内でもトップクラスの知名度を誇るタクシー会社の日本交通株式会社は、ドライバーや乗客の利便性を追求するために「AI配車」という配車予測システムを導入しました。
このシステムは、開催中のイベントや気象情報、鉄道の遅延情報などをAIが分析して、乗車需要が多い場所を予想します。
乗車が見込める日時と位置情報は、ドライバーが使うアプリに表示されるので、適切な配車ができるというわけです。
さらに、日本交通株式会社は、乗客向けに「GO」というスマホアプリも開発・リリースしています。
アプリ上のフォームに情報を入力するだけでタクシーを手配できる利便性のよさから、ユーザーからは高い評価を得ています。
企業②ソニー損害保険株式会社
「ソニー損保」のCMでおなじみのソニー損害保険株式会社は、DX推進の一環で、自動車保険にAIを活用しています。
従来では、保険加入者のステータス管理に工数がかかっており、事故リスクの算出に膨大な時間が必要でした。
しかし、運転中のデータをAIが分析する「GOOD DRIVE」というアプリを開発したところ、被保険者のステータス管理ならびに事故リスクの算出が簡易化・短縮化されました。
企業③株式会社トライグループ
「家庭教師のトライ」で広く知られる株式会社トライグループは、今でこそ当たり前になったオンライン学習の先駆者だといわれています。
まだオンライン学習が一般的ではない時期から、リモートで授業が受けられる「Try IT」を開発・提供し、塾に通わなくても勉強ができる仕組みを作り上げました。
学習傾向の分析や、オンライン授業中に講師に質問できる機能なども搭載されており、国内のみならず、海外からも高く評価されています。
当初は、オンライン学習の質を疑問視する声もあったものの、次第にユーザーに受け入れられるようになり、現在では会員登録者数が100万人を超えるほどの大成功を収めています。
DX推進を成功させるには適切なプロセスを踏まえることが重要
いかがでしたでしょうか。
DX推進により、既存業務のデジタル化やシステム開発などを実現させれば、業務効率の改善や生産性の向上に高い効果が期待できます。
ただし、DXは高い知識と技術が求められるため、準備が不足している状態でプロジェクトを進めると頓挫する可能性があります。
業務効率をよくするための施策が、かえってパフォーマンスを低下させることがないように、準備を万端にしたうえで、適切なプロセスでDX化を進めましょう。
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